【第20回】新聞の事例研究−その4−動きはじめる、動き始める

複合動詞の後半はひらがなにして、コトバの主たる意味を強くする。

動詞の複合語とでもいうんでしょうかね。
例えば、「動き」と「始める」を組み合わせた「うごきはじめる」。
誌面はこのような場合、後半の漢字をひらくことが多いようです。
   
ほかにも、可能性としては
「飛びだす(飛び出す)」
「言いつづける(言い続ける)」
「持ちこむ(持ち込む)」
などが考えられます。
ちなみに記者ハンは、両方の変換候補を示し、どちらでもいいというスタンスみたいです。
   
「抱きとめられ」とした朝日新聞
抱きとめられるの例、某日の「朝日新聞」一面から
   
本旨から、少し外れます。
まず、青線の「やまない」。
漢字としては「止まない」なんでしょうが、「止まる」との誤解・誤用を防ぐため、読みを重視してひらいたケースです。たぶん。
いままでにも、似た例をご紹介してきましたね。
   
一方の赤線。
同様の読み重視策と解釈してもいいんですが、冒頭の複合語の問題でもあるんです。
良い偶然があったので、サンプリングしてみました。
これはこれで、そうあるべきなんでしょう。
「飛びだす」も「持ちこむ」も同。
それでいて、個人的に、「言いつづける」は「言い続ける」だと思ってます。
その理由は、続けるというニュアンスが濃いから。
動作の主体がドッチなのかという配分で、「ひらくのかとじるのかが決まる」という考え方です。
   
しかし、前後の文脈によってワーディングが変わりかねないってことですよね。
できるだけ統一するよう、心がけます。
難しいな、これは。   
   
余談ですが・・・。
赤線の少し前にある「だがいま」。
読みが複数ある時制は平仮名が原則。
明後日ではなくあさって、今日ではなくてきょう。
これも、読み重視策のひとつです。
そして読点は、接続詞の後ではなく、時制の後に打つ。
この二つのルールから、「それでも現在、」「そのうえで4日、」みたいな語句が成立するわけです。
   
さはさりながら、「だがいま」って・・・。
句点を省略したことは見逃すとしても、コトバとしてどうなんでしょう。
   
この「いま・今」はですね、いつも悩みます。
いまだ、自分の中で定着していません。メディアによって違っています、おそらく。
もちろん、同じ記事の中では統一していますが。
自分だったら、「だが今、日本は米国の・・・」かな、やっぱり。
それでいて、「いま日付が変わった」とか打っていそうですけどね。「今日付(きょうづけ)が変わった」に受け取られますから。

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