【第27回】新聞の事例研究−その5−ナカグロと読点の使いわけ

ナカグロが使えるのは、純粋名詞の併記だけ。

先日の紙面で、「可決、成立した」という表記を見かけ、何となく「アレ?」と思ったんですね。
ナカグロは、原理原則でいえば、名詞を併記する場合に限られます。
同じ紙面からひろってみると、
   
移民・難民対策
東・南シナ海
   
などですね。
自分の感覚では、(可決&成立)したなので、ナカグロに含まれるケースのような気がしていました。
しかし、他所でも「可決、成立した」と書かれていたということは、「名詞に『する』を加えた動詞」という扱いなのでしょう。
よって、ナカグロではなく読点だよと。
これ、気をつけていないと間違えそうですね。
   
ナカグロを使わず「可決、成立した」用例
読売新聞総合面の例
   
同じことは、名詞+的の形容詞でも起こり得ます。
「懐疑・否定的な態度」ではなく、「懐疑、否定的な態度」が正しい。
あー、いままで、どうしてたんだろう。
たぶん、いくつかは間違ってたんじゃなかろうか。
   
これはね、ナカグロの利用ケースが減りかねない事態です。
わかっていたようで、全然ダメだったな。
ちょっと待って、ちょっと待って。
動詞の連用用法や体言なんかも考えなきゃ。
独特のキレ・走り・・・は正しくない。純粋名詞ではないので。
独特のキレ・爽快さ・・・もアウト。だって、爽快さは形容動詞ですからね。
   
うーん、運用ベースとしては原則、「と」でつなぐ。
独特のキレと爽快さ
「と」でつなげられない場合、とりあえず読点にしておく。
懐疑、否定的な態度
間違いなく名詞の併記である場合、ナカグロにしてみてもいい。
移民・難民対策
そんなところですかね。

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