【第30回】単語と文章が結び付けられる「ともに」

文意が誤って伝わることのない、最強の接着ツール。

「インスタの流行や欧米の考え方が浸透してきている・・・」
   
そんな原稿を書いていて、マズイことに気付きました。
これだと、(「インスタの流行」+「欧米の考え方」)→浸透してきている
って意味になりかねないんですね。
書きたかったコトは、そうじゃありません。
「インスタの流行」+「欧米の考え方が浸透してきている」
という併置なんです。
   
さて、直し方はいろいろあるものの、どうしましょうか。
そこで、自然に出たワーディングが、
「インスタの流行とともに欧米の考え方が浸透してきている・・・」
でした。
自分ながら、あっぱれ。
この「ともに」というヤツは、単語と文章という異物を、上手に接着できるんです。
どういうことなのか、少し、説明します。
   
遺跡の発掘現場
発掘とともに文字を調べる作業が進められている
   
「や」や「と」で挟まれる前後のワードは、名詞になっている必要があります。
もう少し正確に説明すると、名詞を選んで接着する・・・というのかな。
「発掘や文字を調べる」とした場合、発掘も調べるし、文字も調べてしまいます。
なので、単語と文、文と文の接着には向いていないわけです。
無理にやってみましょうか。
   
遺跡を掘り出す−と−文字を調べる作業が進められている
   
前半がヘンテコですよね。
なので、名詞化という作業が欠かせません。
   
遺跡を掘り出すフィールドワークと文字を調べる作業が進められている
   
ところが「ともに」は、全くのノールールで使えるんです。
強力なツールですね、ぜひ、覚えておきましょう。
   
発掘とともに文字を調べる作業が進められている
遺跡を掘り出すとともに文字を調べる作業が進められている
遺跡を掘り出すフィールドワークとともに文字を調べる作業が進められている
   
すごくないですか。
「や」や「と」にはない、異次元接着技術。
併置のデフォにしたいくらいです。

朝と夜に服用してください。
朝とともに夜にも服用してください・・・やっぱ、変か。
とにかく、「や」や「と」のかかり方でおかしなことになりかけたら、「ともに」で防ぐ。
   
十分な睡眠と栄養のあるものを食べましょう・・・睡眠は食べません。
十分な睡眠とともに栄養のあるものを食べましょう。
いやいや、使えるは、コレ。

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