併用の「や」がダブルとき、その意味するところは幾通りも出現してしまいます。
例えば、標題の「AやBによるCやD」。
1.A+BC+D・・・足し算的な解釈です。
2.(A+B)C+D・・・前半は掛け算、後半が足し算
3.A+B(C+D)・・・前半は足し算、後半が掛け算
4.(A+B)(C+D)・・・すべて掛け算
具体的な例文を探してみましょうか。
悪文が見つかりそうな『政府広報』を探していたら、案の定ありました。
「病気やケガによる緊急移送費用や入院費用の支払い」
おそらく、(病気+ケガ)(緊急移送費用+入院費用)支払い・・・なんですよね。
(A+B)(C+D)のパターンに加え、「支払い」というE項も含んだ、三重の掛け算のようです。
因数分解すると、
病気による緊急移送費用の支払い
病気による入院費用の支払い
ケガによる緊急移送費用の支払い
ケガによる入院費用の支払い
が解になる。
これ、ぱっと見で、わかりますか?
言わずもがなの茶濁でございます
では、誤解をなくすために、どう修正していけばいいでしょう。
まず、「費用」とあれば「支払い」がらみだと推測されますので、E項は不要です。
次に、前半の「や」のみイキとしてみます。
「病気やケガをした場合の緊急移送費用、あるいは同じケースでの入院費用」
後半の「や」をイキにするとしたら、
「病気をしたりケガを負ったりした場合にかかる、緊急移送費用や入院費用」
好みですけど、後者ですかね。
「や」の乱れ打ちは、都合の良いほうに捉えられるかもしれないので、注意が必要です。
ヤボったいようでも、可能な限り「解」に近い形で記載するようにしましょう。
誤読の可能性が少しでもあれば、抗弁はできないんです。文を書いた人の責任になります。